意識他界系’s diary

色々書くところ

Webディレクターというポジションに求め過ぎ問題

やっと週末ですね。今週もお疲れ様でした。

MTGアリーナについて書いていこうと思ったのですが、、、


ちょっと本格的に思うことがあり、転職活動を始めました。
私はWeb業界という魑魅魍魎が跋扈する蠱毒の壺の中でWebディレクターという底辺職に従事しています。もうね、これが結構限界なの。

Webサイトをこの世に生み出すためにデザイナーはデザインを、コーダーはコーディングを、SEはシステムをそれぞれ担います。
ではディレクターは何を担うか?

そう、デザイン・コーディング・システム以外の部分ですね。
弊社みたいに小さい会社(社員数10名)では、ディレクターが営業も兼ねている場合も多いです。
「じゃあ見積もりと進行管理くらい?」と思われるかもしれないですが、もうWebディレクターに求められる能力が多過ぎてエグいことになっています。

 

ざっとこんな感じ。

ヒアリング
・要件定義
・見積もり/スケジュール設定
・企画練り
・プレゼン/クロージング
・構成作成
・デザイン/コーディング/システム依頼
・プレビュー確認
・本番化指示

 

うん、少ない。でもこれを細かく見ていくと、求められてくる能力が結構エグい。

 

ヒアリング
コミュニケーション能力が必須。またクライアントによっては経営マーケティングの知識を求められてしまいます。クライアントに「こいつ大丈夫か?」と思われたら終わりです。今後もうお声がけいただけないでしょう。なので必死に意識高いふりして話を合わせますし、それ系の本をたくさん読みます。本当はもっと漫画とか読みたいです。

 

■要件定義
ヒアリングで聞き出した内容をまとめます。ここでは問題発見能力とでもいうのでしょうか?今クライアントが抱えている根本的な問題とそれを解決に導く提案を考えなくてはいけません。なので広く浅い知識が求められがちです。広く張ったアンテナで少しでも引っかかることがあればそこを本格的に掘り下げます。トレンドなんかには常にアンテナを立てておく必要があります。

 

■見積もり/スケジュール設定
予算とスケジュール管理の能力が求められます。現在の社内制作陣・外注の空き具合とプロジェクト規模を鑑みて算出します。正確な工数算出も必要です。もし公開日が決まっているのであれば逆算してスケジュールを出し、料金も増減させる場合もあります。そして多少のバッファね。
この作業は慣れればすぐできそうなもんですが、クライアントはどんなにいい企画を提示されようとも、当然ですが最終的には見積もり&スケジュールで決定する場合が多いので慎重さが必要です。我々は蠱毒の壺に放り込まれ、一番安い見積もり&短納期を提示した制作会社のみ生き残り、業界の価格破壊は続いていくのです。。。

 

■企画立案
企画力が必須。これがないとお仕事取れません。テーマによって変わってきますが、大体はWebサイトを用いての「ブランド力強化」「売上アップ」「採用強化」くらいのざっくりとした3つの知識があればいいです。この3つと絞ったのですが、これが結構多岐にわたる知識を求められます。綺麗なpngでトップデザイン案をこしらえるだけではダメなのです。「ブランド力強化」は経営のノウハウや成功事例。本を読んで色々知っておかないと最近ではクライアントの方が詳しい場合があります。「売上アップ」広告SEO周りの理論武装が必要です。もちろんマーケティングについての造詣が深いに越したことはありませんね。クライアントが何を扱っている業種かによって「ユーザー分析」なども必要になりますし。

 

■プレゼン/クロージング
プレゼン能力必須。あと資料作成のための知識。「ツールを使えればいい」ではなく、見やすく伝わりやすい資料作りが重要です。こういうストーリーでプレゼンしようと決まったら、そこに向けて資料作成を始めます。プレゼンはもう場慣れ、数をこなすしかないです。緊張すると顔が赤くなる私には結構苦行なのです。正式に受注となった場合制作フェーズに移行します。

 

■構成作成
言わずと知れたUI/UXの知識。正直そこらへんに対しては構成完成後にデザイナーに任せてしまうことも多いですが、デザイナーと少しでも対等に話すために知っておいて損はないです。そもそも最初から構成はデザイナーに作って欲しいというのが本音ですがね。

コピーを考える、クライアントからもらったテキストをWeb用にリライトする、という作業も発生しますのでライティングの知識も少々あると便利です。

 

■デザイン/コーディング/システム依頼
コニュニケーション能力必須。

ことWebディレクターは一点に特化したスキル(目に見えてアウトプットできるスキル)を持っていないため、制作陣からはかなり下に見られがち。弊社ではWebディレクターが最下層職です。

外注業者に依頼することもありますが「なんでそんな意地悪なこと言うの〜!」と叫びたくなることがあります。ただそうなった場合は相手は上下関係をはっきりしたいだけなので、馬鹿な振りして話を聞きます。

各制作についての最低限の知識は持っておくべきだと思っています。もちろんadobe系のツールも全て使えるに越したことはありません。デザイン依頼の場合は色彩や明度、彩度については最低限理解が必須です。ただデザイナーも完璧ではないので、「マジか、、、」「これでよく見せてきたな」とため息の出そうな初稿をあげてくる場合もあります。それはWebディレクターのオペレーションミスだと割り切って対応しましょう。

 

コーディング依頼時はHTML、CSSなどの知識はもちろんのことサーバーをWebディレクターが準備することもありますので、サーバー周りの知識は必須ですね。あとセキュリティーに関しても、、、

 

各制作陣のモチベーションの維持も必要です。「え、、、」と思うことがあっても言葉を飲み込み、気持ちよく仕事をしてもらうために己を殺してモチベーションの管理をします。時に意見がぶつかることもありますが、基本的に制作陣から「じゃあもう作らない」「無理です」なんて言われた日には詰み、というか変わりを探すのが面倒なので、最終的には従います。制作陣のワガママ意見からクライアントへ予算・スケジュールの交渉が発生する場合もあります。

 

必要とあらば写真・動画に関わらず撮影のディレクションも発生します。たまーにですがモデルの手配なども行いますし、インフルエンサー笑、インスタグラマー笑の手配もあります。

また採用サイトに多いのですが、インタビュアーとしてクライアントのスタッフにインタビューし、録音データを文字起こしする作業もあります。

 

■テスト確認
忍耐力と集中力。基本的にはコーダー、エンジニアがミスなく作ってくれていると信じて、クライアントに確認を丸投げたいのですが、ミスなく仕上がっていることは99.9%ないです。なので根気よく確認する必要があります。しかもOSとブラウザごと。しかもスマホタブレット端末ごとに。CMSを積んでいる場合はその操作マニュアルも作成します。ただ確認した結果ミスがない場合もあります。その時はコーダーに最大級の賛辞と賞賛のメッセージを送りましょう。

テスト内容にミスがあった場合は速やかに修正指示。ここではどんなにクリティカル(公開日に影響してしまうくらい致命的)なミスがあってもコーダーを必要以上に責めてはいけません。彼らにはまた次の制作をお願いしますので、ここで私の評価を下げるわけにはいきません。

また私のオペレーションミスでの修正も発生することもあります。コーダー、SEとは、私が「ここは指示がなくてもわかるだろう」と指示書で端折った仕様は基本的に対応してくれない生き物なのです。その気持ちもわかります。「言われなかったからやらなかった。」というのは非常に楽なので。ただクライアントの意思を汲み取ることに必死な私の意思を汲み取ってくれる人は私の周りにはいないんだなーと孤独を感じます。せめてコーディング中にリンク切れなど発覚したら「ここどうします?」と聞いて欲しいと思うのはワガママなんすかね。クライアントに「言われなかったからやりませんでした。」って言い訳は基本通用しませんからね。


数ページごとテストアップしていき、クライアントに確認してもらって全ページOKが出たら晴れて公開なのですが、往々にしてすんなり公開に漕ぎ着けることもありません。だいたい「ココこうして」「これやっぱり無しで」「テキスト差し替えて」と注文をつけられる場合があります。度を越した注文が来ない限りは「(最初に言えよクソが…)はい喜んで!」と予算内であれば対応しましょう。で、だいたいこのタイミングで制作当初から催促していたmeta情報がもらえ始めます笑。

 

■本番公開
もう達成感もクソもなく。また次の案件が始まるだけです。。。

 

■本番公開直後
GA、サーチコンソールのテストを行い、数ヶ月後にはGAレポートを提出します。各ツールの使い方はもちろん、解析した結果をレポートにまとめて報告します。これで成果が出てない時の辛さったらないですね。

クライアントに「商品力がねーんだよ!」と啖呵を切れたらどんなに楽か、、、世の中「自社の商品が売れないのはサイトのせい!」っていう考え方をする会社が多くて正直辟易しています。大手がこんなに幅を利かせている中で勝算を感じた理由が知りたいです。

 

悪い やっぱ辛えわ。

 

そんなこんなで結構しんどいWebディレクター業。弊社だけなのかな、、、

大手だと分業(しかもその道のエキスパートが対応)しているとは思いますが、弱小制作会社はこんな感じで複数案件を同時に回していると思います。

 

制作側は制作側での苦悩もあるかと思いますが、Webディレクターにもそれなりに苦悩はあるのです。まじでやること多過ぎてキツイんすわ。プログラミングなど手に職をつけなかった私が悪いのは理解できています。しかし制作サイドの不平不満ってよくネットで見ますよね。でもね、その不平不満の中でディレクターや営業ばっかりが悪者にされがちなのが我慢できないの。確かにひどい営業・ディレクターもいるかもしれないですけど、こっちはこっちで必死なんですよ。

 

ということを考え出していよいよ末期だなと思ったので転職活動を始めたのでした。